ささやかなデート

彼女が普通のOLに戻って随分と時間が過ぎた。

何気なく電話をしてみた。

「こんばんは。」

「久しぶりですね。」

「今度、カラオケでも行こうか。」

「行きたい。」

そんな短い会話をして僕たちはカラオケに行った。

普通に綺麗な彼女になっていた。

もう彼女の事を誰も風俗とは気づかないだろう。

それで良かった。

僕たちはカラオケと少し洒落た食事をして楽しい時を過ごした。

キスもせず、体も触れず、ただ楽しかった。

僕は彼女の優しい心が好きだったのだと漸く気がついた。

時が全て解決してゆく。 

幸せになってね。 僕はそう呟いて彼女を見送った。

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あれから

あれから彼女とは暫くのメールのやりとりをしていて、
僕は彼女をそっとして置こうと思った。

二度と逢わないかも知れないし逢うのかも知れない。
細い糸のような儚い約束だけのこと。

そんな曖昧な話に成っている。
僕の中で彼女の笑顔は、想い出になりつつある。

時というフィルターを通してその心象を一枚の絵のように
描いている僕が居たりする。

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彼女の現実

「正社員になれなかったの」そう彼女は呟いた。
「今はウエイトレスのアルバイト。重くて、立ちっぱなしで大変。」

現実なのだと思う。もともと絵やコンピュータグラフィックスが
好きだった彼女。そういう職種には就けないのだろうか。

口下手で表現することの出来ない彼女。
そのことが彼女にとっての問題であるということが解りつつも
やり切れない気持ちになるのは何故だろうかと思う。

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柔らかい笑顔

久しぶりに彼女に会って食事をした。
「今日、就職の面接だったの。」そう言う彼女はグレイのリクルートファッションで
以前のミニスカートの面影は無い。思ったより彼女の肌の色は白くて、虹彩は少し茶目であるのだと改めて僕は見ていた。柔らかい良い笑顔をしているなあ。僕はそう思った。清楚な感じもするし、少し剽軽な彼女を見ていて、僕は会話をしているのだ
けれども、彼女の瞳や笑うと女学生の様な無邪気な表情になったり、そういう彼女をじっと愉しく見つめていた。
僕は誕生日プレゼントにインフィニティクロスのネックレスを贈った。
ティファニーのエルサ・ペレッティのデザイン。無限の愛を示すように一本の
ワイヤーが無限を示す記号とクロス(十字)を上手く組み合わせてデザイン
されている。オープンハートも彼女のデザインによるものである。
早速、彼女はネックレスを付けて見せてくれた。シルバーのネックレスは
嬉しそうに彼女の胸元で小さく光を放った。

「じゃあ又今度ね!」「今後は何時?」「メールでね。」

そう言い残して、彼女は雑踏の中に溶け込んで、帰って行く。
もうすっかりOLの様に思う。そんな彼女を少し目で追いながら
僕は胸の中が少し押されるような、ホッとした気持ちと少し
寂しい気持ちが交錯して、暮れかかった空を仰ぎ見た。
 

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Tiffanyの香水

彼女に贈ったTiffanyの香水。 
気に入ってくれたとメールが有って少し嬉しくなった。
毎日使って呉れている様子。

香りは好き嫌いがあるので難しいと思う。
Tiffanyの新作の香水は二種類有って、軽めの爽やかな
フローラルの感じと、もう一つは少し大人の重みが
有るような香り。 彼女には軽めの香りを選んだ。

今度逢う時にもきっと香水を付けて来て呉れるのだと思う。
その香りに包まれた彼女を少し愉しみだと思う。

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再会

彼女と再会した。風の強いヴァレイタンの日。
待ち合わせのホテルのロビーの売店の処に彼女は既に居て
こちらを見て小さく手を振った。
相変わらずキュートな笑顔で少し落ち着いて綺麗になった様に思う。

ホテルのエレベーターに乗って見晴らしの良いレストランに入る。
平日の昼間の為か客は僕達だけ一組。 貸し切りの様である。
ステーキランチをオーダーした。

僕は渡しそびれていた、クリスマスプレゼントを今頃になって
贈ることとなった。Tiffanyのオープンハート。そして香水。
海外のお土産のスワロフスキーのハート型のネックレス。

彼女はネックレスが好きなようで、オープンハートとスワロフスキーを
早速、首に掛けて見せた。自分がしていたネックレスと合わせると
3重になって一寸可笑しかったが、付けて見せて呉れたのが嬉しかった。

「オープンハートは以前に持っていたけど無くしてしまって。
 戻ってきたようで嬉しい。」そう彼女は言った。

ランチの味はなかなか良かった。前菜の6種盛り、ジャガイモのスープ。
ステーキ。そしてデザートは好きなだけ選べる趣向で有る。

「こんど就職を考えているの。正社員でね。」
「良い事だね。」

そう彼女は嬉しそうに微笑んだ。昔の彼氏の問題で裁判の調停を抱えて
いて、大変そうなのであるが、色々有って風俗に身を置いていた。
それも抜けられて漸く普通の生活に戻って行く。

「又、ご飯食べに行こう。飯トモっていうやつかな。」

彼女は可笑しそうに少し笑って頷いた。
僕は彼女を見送った。肌を触れる事も無かったが心に触れて嬉しかった。
普通と逆のプロセスの関係でも有る。

僕は帰ってから彼女にメールを送った。
「本当はチョコも呉れたらもっと嬉しかったな。」
返事が来た。
「ご免ね。就職したら、今度何かお返しするね。」

暫く彼女との淡く柔らかい関係が続くことを思ったりしている。

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柔らかな面影

思えば実際に彼女と共有した時間は1ヶ月半だったのだが、どうして柔らかな面影が継続するのだろうかと思う。 僕は自問自答してみたりするのであるのだが、やはり
印象が強いからに他ならないのだと思う。

彼女の泪。これが決定的で有った。僕の前で本当の泪を流したのは今まで三人しか居なかった。 過去二回、僕の人生の変曲点は女性の泪とともに有った。

今度がそうであるのかどうかは解らないが、泪には感情を揺らす何かが有って
その振幅が、時として道まで変えてしまうことが有るのかも知れないと思ったり
している。

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彼女からの贈り物

彼女が描いた絵を贈って呉れた。

以前に約束していたコンピュータグラフィックスの絵。
三次元で描かれている。 恐らくは彼女の部屋なのだろうか
あるいは空想の空間なのだろうか、鏡の中に小さく写ったポスターは
マリリンモンローなのだろうかと思う。

絵を贈るのを少し恥ずかしいと彼女は言うのであるが僕はその理由は
彼女の心の中のイメイジを観ることになるのからかも知れないと
感じていた。

お金では買えないもの。そんなプレゼントで嬉しかった。

僕は彼女へ、タブレットで描いた二次元のグラフィックスを贈った。
心の中の彼女の線描。 僕は彼女が高校時代に絵が好きだったという
その姿を想像していたりする。

僕もそうだったから、何か懐かしいような、観たことは無いはずなのに
教室の中で彼女が絵を描いている姿が見えるのは何故なのだろう。
胸がキュンとなるようだ。 不思議だな、ただそう思う。

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彷徨う心

彼女と逢えない時間が堆積していって、薄くなるのかと思っていたのだが。
僕はその彼女の鉛の様に重い比重の心が転写してくるようで返って辛く
なってしまうのである。
説明が無いまま、丁度クリスマスの日に逢えなくなってもう随分と時間が
過ぎて行く。訳が無いというのも一つのメッセージなのかも知れないと
思ったりもする。

僕は彼女が普通の生活に戻ることを寧ろ喜んでいる。その方が彼女に
向いているからなのである。そう、最初から話していた。
唯、突然というのがやはり辛いのであろう。 
僕の彷徨える心は暫くまだ落ち着かずに居る。

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記憶の中の彼女

彼女と会う事が出来なくなって暫くの時が過ぎた。
そうなると逢いたいと思う気持ちが強まるように思う。

自分でも気付かなかった感情が時間と供に創られて行く。
普通は薄らいでいくのだが、どうしたというのだろう。
他の娘では満たされない。やはり違うのだと思う。

時々、フラッシュバックの様に映像の断片が頭に
浮かんだりする。 首筋から耳朶に掛けての映像、
彼女の瞳のクローズアップ。チョコレートを食べる
仕草。彼女の泪。蝋燭の灯に照らされる笑顔。

見た事もないはずの彼女の高校時代に絵を教室の
中で描いている姿。それは想像なのだろう。

その一つ一つの動画の繋がりが何時に無く頭に
浮かんできては消えていく。
夢の様な現実。現実のような夢。
それらが交錯してイメージを創り始める。

僕は彼女の極く一部しか知りはしない。
しかし映像は3Dの様に彼女をマッピングしていく。
まるでCGの様で有る。

「私、CGを勉強してたの。」

そう彼女が言ったせいかも知れないが、僕の頭は
パソコンも使わずに彼女の映像を容易に描いて見せるのである。
彼女が微笑んだ様なヴィジュアルが浮かんできた。

「なかなか良い笑顔じゃないか。」

自画自賛してみたりする。

でも本物には叶いはしないよ。

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初日の出

太平洋岸のその砂浜には既に初日の出を待っている人たちが居た。
僕は犬に連れられて、その砂浜を波打ち際まで歩んで行った。
空には最初、薄く星も見えていた。

空は水平線のすぐ上の処まで雲が掛かっていて、太陽が顔を出すまでに
少しの時間を要したのであるが、周囲を茜色に染めながら、そして
紅に輝く太陽は神々しいその姿を現した。

潮騒の音と供に見る日の出は綺麗であった。
波もその光を受けて輝き始めている。
冬の凛とした透き通る様な空気の中で、ぼくは手や頬が
少し冷たくなって刺すようだった。

彼女は、同じ太陽の光を見ているのだろうか。
一年の始め。
彼女への密かな思いが透き通った空気の中を伝播
していって彼女の元に届くようにと暫く祈っていた。

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彼女の携帯

彼女の携帯ストラップは組み紐で出来ていて和風な感じである。
大人しそうな柄で品が良い。 
そう言えば彼女は香りが好きなのであるが如何にも京都の香りが
しそうなと言えば良いのだろうか。

僕は、彼女と携帯電話の番号を交換して、一度掛けてみた事が
有った。でも、数度鳴らしただけにした。
何となく家の事情が大変そうな彼女を暫くはそっとしておいて
おこうと思ったからであった。

僕はその替りに、彼女にメールで絵を送るようにしようと思い立った。
そう言えば彼女も絵が好きだったから、少しは伝わるものが有るかも
知れないと思っている。

暫くは無邪気に出会えていたのだが、急に彼女が遠くに行ってしまった
様で心に穴が開いたように感じたりもする。

彼女の二十三の誕生日までに会う事はできるのだろうか。
少し遅くなったクリスマスプレゼントを渡したいと思ったりもする。

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クリスマスイヴに貰ったもの

一体、何年前のクリスマスイヴだったのだろう。
今は閉店したJAZZを流している店でイヴのパーティーを開催した。
楽しいパーティーの後、店の外に出てみると丁度、雪が舞い始めて
いたころだった。 

 雪の白さは都会の暗さを隠す様に白く、だんだんと降り積もってくる。
紺色のコートの裾に付いた雪は溶けるときに六角形の綺麗な結晶を残して
次々と現れては、消えていく。 

 皆の、吐く息は白く、頬は少し染まっていた。
パーティは終わったのに その場を皆、何故か離れ難かった。

「雪のクリスマスイヴだね。」皆が、微笑んでいた。 

バブルの時代であったが、僕たちのパーティは、そんなに派手なものでは 無くて、
大人しく健全過ぎたかもしれないけれど、どこか心に残るものだった。
 いつも僕は幹事の役回りだった。やがて、幾つかのカップルがパーティで出会い ゴールインしていった。

この頃が来るたびに僕は楽しかったイヴを思い出している。
無邪気に若かった時を少しはほろ苦く、でも、純粋な思いの結晶は今も
未だ消えてはいないのだと信じていたりする。

僕たちがクリスマスイヴに貰ったものは、そんな小さな思い出だった。

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彼女の忘れ物

白いタオル地の髪留め。

さっきまで彼女が後ろで髪を束ねていた。
僕はその後ろ姿を飽きずに眺めている。
首筋と項(うなじ)そして、少し桃色の耳朶。

その髪留めを白いベットの上に残して彼女は
独り帰っていった。

僕は寝返りをうった時にその彼女の髪留めを
偶然に見つけて手に取りそっと頬に寄せる。

彼女の微笑みを想い出していて
どういう訳か目頭が少し熱くなって
説明出来ないような気持ちになる。

視界が朧げになって、僕は知らない間に
その髪留めを手の中にしたまま
夢の中に入って行った様だ。

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絵の好きな彼女

彼女を待っていると、ちょこんとお辞儀をして片手を挙げた。
少し剽軽な彼女である。 部屋に入ってブーツを脱ぐときに
一寸、蟹股になるのが子供っぽくて僕が笑いを堪えていると

「可笑しい? 他の人はどうするんだろう」といいながら頬を赤くした。

随分と僕にも慣れてきて、覗き込むように僕の瞳を見てくる。
少し近視かなあと思っていたらコンタクトだと言う。

小振りの胸や、スリムな体形が年齢より若く見える彼女は
僕が大学生の時に教えていた中学生の女の子と良く似ていて
その女の子もやっぱり覗き込むように何時も僕の顔を見ていた。

その彼女は絵が好きでグラフィックス関係に興味を持った。
「クラスの中に居たでしょう。ずっと絵を描いているような子。」
そんな彼女であったと言う。

僕は彼女が教室の中で座って絵を無心に描いている様子を思い浮かべていた。
自分もそうだったかも知れない。
そういえば最近、絵を描いていないな。そう思う。
その代わりに新しいビジネスのイメージを日々描き続けているのである。

「絵を見てみたいよ。」「じゃあ、メールで送るからね。」

僕は彼女の絵を少し心待ちにしていたりする。

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少しづつでも

彼女から電子メールが届いて、少し気持ちが落ち着いたようで
安心した。 彼女の哀しみが切っ掛けとなって僕の哀しみも
話すことができたから、もう秘密にしておくことも無くなったよ。
少しづつでも心の距離が縮まれればと思うよ。

いつも笑顔の彼女が浮かんでくるのだけれど。
どうしたら彼女が本当に幸せになれるのかと考えていたりする。 
明日は逢えるのだろうかと思う。逢ったら何をしようか。
僕のあの思い出の砂浜に彼女を初めて連れて行くのも良い
かも知れないと思う。

夜の潮騒はきっと想い出に残るのだろう。

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泪のあとに

彼女の泪を見て、少し剽軽で朗らかな彼女に、
どうしてかは解らなかったが、何処かに或る寂しさに
僕は魅かれていたのだと気がついた。

僕が魅かれるのは、そんな女性が殆どだと思う。
強気なのに寂しがり屋とか、無邪気なのに陰が有る
とか、皆、思い出してみればそうなのである。

又、意識はしていないのだが、皆、僕の前で泣いて
しまうことが多い。暴力を振るうわけでもないし
相手を責めるわけでもない。心の痛みを結果的に
分け合うことになる。

泪を流した後、彼女が微笑んだのが救いでも
有ったのであるが、暫くは彼女の事ばかり考えて
いた。
でも、人の世には、更に越えていかねば哀しみや
そして喜びが有るのだと解っている。

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彼女の想い

彼女の目から泪が溢れた。 その泪は頬を伝って僕の胸元に落ちた。

哀しい事があったのだと言う。 朗らかそうな彼女からの想いも寄らぬ

泪で有った。 僕の哀しみも少し話をして、彼女は落ち着いてきた。

僕は暫く彼女を抱擁し続けている。 その哀しみは消える事は無いかも

知れないのだが時がやがて薄めてくれるのだろうと思う。

浴室を暗くして、キャンドルを浴槽の中に浮かべ、蝋燭の

暖かい光に包まれている。 彼女が少し微笑んだ。

癒されますように。

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柔らかな曲線

ぼくはその彼女の背中からお尻にかけてのラインが好きである。

そっと背中から脇腹を経由して腰に至るその柔らかな曲線は

丁度良い大きさのお尻に繋がっていて、とても綺麗なのだと思う。

指先でその曲線を辿りながら、彼女は何を今、考えているのだろうと

思ったりする。

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電子文

僕はその彼女と短い電子文を交わす事となった。

取り留めもない日常を綴りつつも

彼女の今を想う事がある。

時と空間をたやすく越えて行くその文は

少し響きあったりして

今も昔も心を伝え合うのだと思う。

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小さなプレゼント

「これ、使ってくださいね。」

そう言って彼女は竹久夢二のイラストの入った
お香立てとお香をプレゼントして呉れた。

お香立てには小さな女の子が子象の玩具を
引いている絵で可愛らしい。

お香を取り出してみると、伽羅の香り。
和の空気を創るようだ。

「じゃ僕は此れ。」

僕はマグノリアの香り袋をプレゼント。

花の香りで、車に使うと彼女は言う。

何も決めていた訳では無いけれど
お互いに準備していた香りのプレゼントを
偶然にも交換をすることに成った。

プレゼントも勿論、嬉しかったけれども
気が通じているのかなと思えた事。

僕は、その事が少し嬉しかったりしている。

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魔性の女

「魔性の女って言われたの。」そう彼女は言う。

成程、少し解る気がしてきた。魔性の女と言う
言葉を使う場合には、表面的には寧ろ大人しく見えて
しかし、男を虜にしてしまう何かがある場合に
言うのでは無いだろうか。

清楚で居て寧ろ、セックスなんてしないのでは無いか
そう思わせるような女性が、床上手だったりすると
そのギャップに男性は悦びそして少し悩んだりする。

知人もその昔、若い頃に「魔性の女」と呼ばれたという。
僕はその本人に会ったことは無くてインターネットを
介してしか知らないけれども、写真で見る限り、
小柄で、華奢で、大人しそうな印象である。
建築士の資格も持っていて自営のビジネスをやって
いるのだが、男性遍歴は少なくない。

「泥棒猫って呼ばれたこともあるわ。」

「でも続かないの。」

「未だ独身だわ。イヤになっちゃう。」

同級生から男を奪ったその建築士は言う。

男と女という性差がお互いに魅かれあうというのは
本能的なものであって、魔性というよりは本性なの
だと思う。 

求めることで外見とのギャップや所謂、道徳的な
概念を超えてしまったり、相手や周りが翻弄される
と魔と言われるのだろうと想像している。

僕はその「魔性の女」に会いたくて何度かアポイント
を入れているのだが、なかなか人気が有って難しい。

僕も虜にしているから彼女は「魔性の女」と呼ばれる
のだろうと思っている。

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適性

お祖母さん、置き屋をやっていたの。

以前、或る女性からそんなことを聞いた。

小さい頃、両親と離れて、その京都の置き屋で
暮らしたという。離婚したという両親にも
子供には解らない理由があった様だという。

「華奢で物静かなお祖母さんだったよ。」

「その店には綺麗なお姉さん達が居て。
 私もそういうのに憧れていたかも知れないな。」

その彼女は昼間はOLとして夜はデリの仕事を
している。そういう過去の記憶が、彼女に影響して
いることも有るのだろう。

「彼氏も居ないし、どうせならこういう性交渉は
 嫌いじゃないし、それでお店に電話したの。」

「最初は、一寸、勇気が行ったかなあ。」

「最初の内は怖い客も居たし、暫くトラウマに
 なったこともあるよ。」

僕は彼女は、この仕事に向いていないと思った。

何か、癒されたいと思っていたのが逆に
少しばかり、辛い時間ともなった。

「今の昼間の仕事に全力を集中してみたら?」
そう、アドバイスをした。

彼女はどう聞いたのだろう。僕は、本音を告げる
事は無くて、彼女に真意が伝わったのかどうか
解らない。

果たして、今は、昼間の仕事に集中しているの
だろうか。

人、それぞれであるし、魅力もそれぞれである。

肌を触れあって、始めるという関係は
或る意味、それがゴールでは無くて出発点と
なるから肉体的な魅力は前提となってしまう。

それが無ければ辛い仕事である。 
本人にとっても客にとっても。

その後に精神的な魅力を見いだすという
通常とは逆のプロセスとなる。

我が侭なのかも知れない。

僕は肉体的魅力が有って、しかも
内面の魅力が有りそうな人しか駄目なのである。

適性というのは難しい。客観的に自分を見る事の
難しさは、仕事の選択にも通じると思う。

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電話無しの関係

その彼女とはパーティで出会った。
随分と陽気な彼女で、飲みっぷりも良かった。
化粧気も無かったが、綺麗な肌をしていて
快活な感じの子である。

僕は帰りがけに早速、彼女を誘う事とした。

「じゃあ、今度、駅で待ち合わせね。」

そう彼女は言い残して、電話番号も告げずに去って言った。

(ホントに来るのかな)やや不安で有ったのだが、

待ち合わせに彼女は何時もキッチリ来た。

彼女が電話番号を教えないという事以外は普通で有った。

未だ、メールも一般的では無かったから、今度の約束が
守らなければ、もうそれで終わり、そういう関係で有った。

僕たちは映画を見たり会社のたわいもない話をしたりして
普通のデートを愉しんでいた。

「私、未だ男の人を知らないから。」

ガードの固い彼女でも有った。

水泳が得意で、クロールの時に右と左に交互で息継ぎを
するというやり方を初めて知った。

「バランスが取れるのよ。」 そう言った。

濡れた髪の滴を取って、彼女は長い髪を三つ編みにした。
そして、こちらを見て少し微笑んだ。

会社員なのにスクール水着の様な彼女は、高校生の様であった。

何故かとても愛おしく感じて、僕は彼女にそっと唇を合わせた。

つき合い始めて、一番楽しく感じ居た頃

或る時に彼女がこう切り出した。

「一緒に居るととても楽しいけれど、辛くなるよ。 
 やっぱり一緒にはなれないよ。 話も面白いし
 もっと良い子いるよ。」

「どういう事? もっと好きな人が出来たの?」

「違う、好きになっちゃ行けないの。違うの。」 

良く意味が飲み込めなかった。

 

「来週待ってるよ、何時もの処で。」

そう言っていつもの様に別れた。

でも、彼女は二度と僕の目の前に現れなかった。

始めから別れる積もりで僕と付き合っていたのだろうか。
それで電話番号も言わなかったのだろうか。

僕は人づてに彼女の事を聞いた。
好きならば一緒にやれるという僕よりも彼女は
現実を見ていたのかも知れない。

彼女は僕の事を「ちゃん付け」で呼んでいた。
そう呼ばれたのは彼女からだけであった。

空耳だったのだけれど僕の名前をそっと
呼ばれた様に感じた。

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夢を描く

僕が好きなのはグスタフ・クリムトの絵。

勿論、竹久夢二も好きなのだけれども、夢二の絵はアンニュイな
奥ゆかしさがあって、物憂げな女性が一人佇む様なものが多い。

クリムトは愛し合う形を示している。しかも露骨ではなくて、
歌麿のような行為の描写の春画とは一線を画すものと捉えている。

彼の絵からは、愛し合うプロセスでの、女性の表情とその体の
線が喩えようもなく綺麗なのである。

非対称の構図や日本画の金箔や模様のデザインも取り入れて
アールヌーボーの要素も含まれている。

愛されて微睡むその姿は至福のようでいて、見ている僕にも
その余韻の波長が伝わってくるようである。

「愛し合う夢の絵」 

僕はそう感じている。


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心無い自分の一言

もう何年も前の事であった。
某大手企業のサラリーマンだった僕は、何時も
パーティやイベントの幹事役だった。

「つき合ってください!」

そう迫られて、その女の子に僕は咄嗟に心無い
一言を放ってしまった。

「冗談でしょう?」

思わず出た自分の一言にしまったと思った。
(断るにしても、もっと言い方があるだろうに。)

僕はそのテニス合宿の幹事役であって、実は
他に気に入った女の子が居たので思わず困ったと思って
彼女の告白を打ち消したいと思って、口走ったのである。

一度出た言葉は元には戻らない。

暫くして、告白した彼女が結婚したと聞いた。

「今はね、彼女、可愛い子供もいるんだよ。
 あの子と一緒になっていたら、貴方も幸せだったかもよ。」

そう僕の女友達が言った。

(悪い子じゃなかったんだけど、本当は君の事が
 良かったんだよ。)

複雑な思いであった。時は経ってもあの時の言葉と
場の雰囲気が思い出され自分への嫌悪感だったり
したりして、そんな記憶が甦ってしまう。

失言はなかなか直らない。

言わなくても良い事を言って、言わなくては行けない
事を言うことが出来ない。

「本当に感じているの? 演技じゃないの?」

「演技はしないわ。」

(ご免ね・・・・)

本当は謝らなければ成らないけれど、
言葉に成らなかった。

相変わらず成長しない僕なのだと思う。




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小さな手のひら

彼女の手のひらと、僕のを合わせてみると
二回りほど小さくて可愛らしい大きさである。
指は細くて爪も長くは伸ばしてはいない。
飾り気は無いけれど自然に光沢のある爪。

そんな彼女の手を見ていて高校時代
に女の子とフォークダンスをしたことを
思い出した。

少し気に入っている娘が輪の中でだんだんと
近づいてくると胸の鼓動が早くなって、
息苦しくなったりした。

体育会の中でのその一コマは、懐かしくて
手や肩に触れるダンスで自分と相手の相性を
確かめたり出来る。

気の合う相手は手を繋ぐと嬉しそうな表情だったり
嫌々な相手は手の平が妙に汗ばんでいたり
手の握り方もぞんざいだったりするから、
それで相手の気持ちも言わなくても伝わると思う。

僕のお気に入りの娘は白くて小さな手をしていて
指の先端に力が入るとピンク色になったりする。
フォークダンスで触れ合う時間は短かったけれども
横目で少しその彼女の顔をみたら、少し俯き加減だけど
微笑んでいる様に見えた。

それが純子だった。 

ぼくは其れから彼女のことを
二年間は思い続けていて
大学に入ってから初めて彼女を誘った。

一度きりのデートだった。 儚くて淡い恋。

そんな事を思い出していた。

手のひらの大きさを較べた彼女の
指は先端まですっと綺麗に伸びていて
柔らかかった。

その指先で僕の腕や頬を撫でる様に
そっと優しく触れて呉れる。

彼女は何も言わず、暫くの間

唯、そうしていた。

「また今度ね。」

そう言って指切り。

小指を絡めた感触が

未だ僕の指先にも残っているようだ。

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小さな白い花

小さな白い花のネックレス。
彼女の胸元に大人しくある。

僕は白い花のイヤリングを
随分前に女性にプレゼントした事を
思い出していた。

友達の妹だった。

忘却の彼方であった事が
そのネックレスを見つめていて、
恋にも成らない切ない記憶
として甦った。

その頃の恥ずかしさも有って
少し胸が詰まるようだった。


僕と彼女は湯船につかっている。

「私、ピアスはしないの。」

そう彼女は言った。

彼女の首筋から耳に掛けてを
眺めていると、少しふっくらと
した耳朶が紅潮している。

柔らかな耳朶にそっと
触れてみると擽ったそうに
肩を竦めた。

僕は、ずっとこうして居たい
と思うのであるが時はそれを
許してくれないようだ。

その小さな白い花は
彼女の控え目な一面を
表現しているようにも思う。

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香り

「今日の香りはGuerlain。良い匂いでしょ。」

そう彼女は言った。

香水の名前は僕が聞き間違えていなければ
確かアプレロンデ<にわか雨の後>だったのだと思う。
そうだとすれば1906年に発売された香水である。
Guerlainは180年近い歴史を持っている。

僕がGuerlainの名前を初めて聞いたのは小学生の頃
祖母がお洒落な人でMitsukoという香水を付けていた。

僕は学生の頃はaramisの三種類の香りを楽しんでいた。
社会人になってからはHERMES、GIVENCHY、POLO
CHANEL、DUNHILL、最近ではBVLGARI。

彼女は香りが好きなようだからそういう道も
あるのだろうかと思ったりする。

日本には香道というものがある。
香りを感じ味わうというプロセスを聞香と言う。

僕は彼女の肌の香りが日々、
少しづつ違う事を感じている。

今度逢うときはどんな香りに包まれるのだろう。

Apre


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心の迷宮

ギリシア神話に迷宮に居るミノタウルスという怪物の
話が有った。迷路そのもので出来ている宮殿の話である。

迷宮の物語は色々解釈もあるのだろうが、僕は心の迷宮
という事ではないかと思っている。
宮殿というのは正に人の心を司る中心で有り聖域
(サンクチュアリ)なのだと思う。

迷路というのは頭脳の皴の様で有って、腸のようで居て
複雑な経路にすることによってその延長経路は長くなり
また辿り着くのに時間を要する事にもなる。

迷路を通り抜けるには、ネズミの実験ではないが学習して
その経路を頭に入れなければ抜ける事は出来ないこととなる。
また二次元の迷路の場合は次元を一つ上げて三次元にすると
迷路全体を鳥瞰することが出来、その迷路を解く事が
出来るようになる。

迷路というのは人の進む経路の比喩でもあり、常に選択
があるから、見えない方向を選んだり、戻ったりするという
プロセスが行動そのものの単純化であるから感情に訴える
のだと思う。
テレビゲームのパックマンやRPGなども迷路の概念は必ず
入っており、迷路の中にはミノタウルスの様な怪物が
居たりする。

人はマクロ的に見てその社会は迷路の様なものであり
道路もそうであろうし、社会の仕組みもそうであろう。
常に経路の選択が必要であるし、時によってその経路は
変わったり、新しく成ったりする。

人の心もそうであろう。心は脳や体全体の連鎖として
又更に、他の人との心の連鎖も含めているのでその複雑性は
実際にはハードで表現される世界よりも複雑であって
又、柔軟性に富んでいるし、又、刻々と変化している
ものである。

ハードで既に表現されている社会は心の中に
ある極く一部で有ったりもする。

この心の迷宮は少なくとも空間と時間の4次元で構成
されているから、それを解くにはそれを超える認識の
次元が必要となってくる。少なくとも脳は記憶という
機能を使って4次元の過去の空間把握は留める事が出来る
が未来は容易では無い。未来は不確実性のある選択
可能な、しかも可変迷路の様では無いかと想像している。

そうであるから未来を創ろうという意味はあるとも
言えるのだと思う。そうであれば、4次元の時空に
生きる我々は、それ以上の次元に対して常に影響を
与え又は与えられ相互に共振しているのかも知れない
と思ったりする。

迷宮というからには、迷いながら、怪物(問題)を解き、
高みに到達し聖なる領域に近づくというプロセスが
無ければ成らない。

心にとってのこの怪物とは古い脳、つまり本能に近い
部分の事と捉えている。自らを生存させるためには
息をし、水を飲み、食べ繁殖をさせるというな古い脳
である。食欲、性欲、生命・維持拡大欲といった根源的
なものである。

つまり本来的に攻撃的なプログラムの脳である。
攻撃的であるからエネルギーを持っている。
鬼や悪魔と言えるとも思う。生きるためには善として
食物の殺傷も許されるが、行き過ぎは悪となる。

それを制御し協調することで生物種全体としての繁栄
をするための機能が大脳皮質であるとも言える。正に
迷路の様な皴を持っており、その内部構造自体は膨大な
可変型ネットワークを持つ存在でもある。
これは怪物退治のヒーローや天使といえると思う。

迷宮に象徴される怪物とそれを退治するヒーローは二重
構造でも有り一対である。
二重構造を包含するのは大脳皮質で有り、核にあるのは
古い脳である。

心の迷宮というのは、こころに潜在するこの本能と
制御するための心の葛藤でも有る。

又、人の歴史は正に、この葛藤の結果でも有った。
大脳皮質が発達したばかりに逆に攻撃力が増すという
結果とも成っている。 
創造と破壊が一対になりそれが地球環境へも影響を
与える程になっている。

戦争もそうであるし、テロもそうであろう。
すべては大局的に捉えれば心の問題とも言える。
地球は協調すれば人々を充分養うものを与えて
呉れているのである。奪い合えば足らなくなり
分け合えば余る。
弱いものへの攻撃であるイジメと自爆テロの様な
自殺。それも小さな戦争である。

人が人である限り心の迷宮から逃れる事は出来ない。
科学技術の進歩は破壊のテクノロジとも
創造のテクノロジともなっていく。

心の迷宮にどう対峙していくか、ギリシア神話は
実は、未だ今の世界にも生き続けている。

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ひととき

僕は何時の間にか彼女に会うのが
ひとときの愉しみになってきた。

今日の彼女は薄いピンク色の
半袖のウールのセーターの細い繊維
がふんわりと可愛らしくて、
そっと抱擁したくなる。

「安物ですよ。」

そう彼女は言ったけれど、
そんな事は問題では無くて
唯、可愛らしくあった。

時間の密度を高めたいと思って
今日は、キャンドルサービスと
お菓子やカクテルを用意しておいた。

彼女はアーモンドとココナッツ
のベルギーの御菓子を喜んだ。

マグノリアの花の香りのする
キャンドルも気に入って呉れた。

「マグノリアは好きな香り」

「ロマンチックね。」

そう彼女は言った。

どうして彼女が此処に居るのか
知りたくて、言いにくいことを聞いて
しまったのかも知れない。

それでも、彼女は色々教えて呉れた。

時間の過ぎるのは早くて名残惜しい。
魅かれているように思う。

「少し好きになったみたいだよ。」

遠慮がちにそう言ってみる。

「ダンディです、よ。」

褒めて貰って嬉しかったのだけど。
本当は僕は彼女の心がどうなのか
知りたいのだと思った。

疑似恋愛の中から本当のものが
生まれる事があるのだろうか。

恋人同士でも真実であるはずの
その恋や愛がリアルでは無いことも
有るように、

仮想(バーチャル)な恋愛が真実に
なることが有るのだろうかと僕は
そう思っていたりする。

 

お土産に持って帰ったマグノリアの
キャンドル。

彼女は今ごろ、キャンドルに火を灯して
その香りと暖かい光に包まれていて

彼女の瞳に映る橙色の炎とその微笑みが
僕には見えるように思えた。

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あの頃のパーティ

僕は毎度もパーティーやコンパの幹事役だった。
先輩や同級生、後輩を集めて皆に楽しい時間を過ごして
貰う企画をするのが好きだった。

僕が忘れえないパーティーは小さなパブを借りきって
パブの黒い天井に、満開の桜の木をデコレーションした

「室内でのお花見パーティー」であった。

自宅に桜の木のあるメンバーが桜の枝を切って持ち寄った。

桜は室内でも充分美しかったし、パブはいつもとは違う
異次元の空間の様になった。

桜の花びらが偶然にもグラスの中にはらりと一枚落ちてきた。

「風流だねえ。」 彼女達は言った。

ほんのりと白い桜の花びらは、グラスの中で眩しくて
ソフトフォーカスのように輪郭が滲んで見えた。
皆の笑顔が幸せそうに朧げに見えていた。

それから幾年が過ぎたのだろう。
僕たちはそれぞれの人生を歩んでいる。

皆よりも僕はアウトローでエリートと言われる
道を逸れてしまったのだと思う。
戻る事はもう無い。

やがて寒い冬が来て、又、桜の季節になるのだろう。
桜を見るたびに、
僕は愉しかったあのパーティを思い出したりする。

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夢と現実

「夢の様に現実を創るんだ。」

その彼女に言ったら不思議そうな顔をして
見つめ返してきた。

夢によって今の現実が創られることもあると
僕は真剣にそう思っている。

「現実のような夢」よりは、その方が良いとも思う。

そんな話をしながら、僕は彼女の顔が誰かに
似ていると思って自分の頭の中の記憶を反芻して、
自分が家庭教師の時に教えていた女子中学生の
面影に似ているということに漸く気がついた。

「私の夢は宇宙旅行、無重力を体験したい。」

そう彼女は言うのである。少し思いつかなかったが
確かに僕よりもスケールの大きな夢なのかも知れない。

スカイラウンジの窓越しに見える夜景を見ながら
彼女が少し微笑んでお酒を飲む姿を僕は楽しんで
居た。

話をしていると心が少し繋がってきた様にも
思ったりするのだが、本当はどうなのだろうと
考えたりもする。

こうして彼女と過ごす時間も夢の様な現実なのかも
知れないとも思う。
僕は彼女と過ごす一時がとても短く感じている。
楽しいからなのである。

この夢はやがて醒めるのだろうか、あるいは
新しい現実を創るのだろうか。
少し楽しみであったりする。


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純子という女性

僕が一度だけラヴレターを書いた事がある。
純子という名前の彼女に。
彼女は父親が居なくて、寂しげな感じが
とても 気になる存在だった。

大人しくて無口で居て、控えめな女性。
細くて白い指先の先端の爪の辺りが少し
桜色の様で居て、綺麗な字を書く娘であった。

日本画に描かれる様な彼女は笑うと
白い頬に可愛らしい笑窪が出来た。

僕は高校生時代の三年間、彼女を遠くから
ただ眺めていたのである。 
大学受験が控えていたから 恋愛は我慢しようと
思っていた。

今のように携帯電話も一般的では無かったし
インターネットも未だであったから、
簡単に思い を伝えるという事も勇気が要るし
抵抗が有った。
好きでは無い娘からは、ほかの女学生経由で
打診が有ったりしたのだけれども意中の女性
への 思いは伝わらないものだと思ったりもした。

僕は大学に合格して手紙を書くこととなった。
ラヴレターが、此れほど気恥ずかしいものだ
とは 思わなかった。 
でも思いを綴ることで自分の気持ちを あらためて
見つめることが出来たように感じた。

気持ちが通じたのか僕にとって彼女との
初めてのデート をすることになった。
大学の学園祭だった。

でも、そのデートが最初で最後だった。
彼女には結局、手も触れずじまいであった。
妙に明るくなった彼女は僕が思い込んでいた
薄幸な少女 という感じとは違って居たし、
僕も彼女が思うような風采では 無かったのかも
知れない。 

何よりも僕のラヴレターを家族に見せたという
話が 少しばかりショックでも有った。

お互い連絡も取らずにいて自然消滅となってしまった。
僕の思い込みだったかも知れない。
それ以来、僕はラヴレターを書いた事が無い。

たった一度の恋文であったのだと思う。

社会人に成ってから、僕は偶然彼女と街で
バッタリ 出会うこととなった。
彼女は女友達と一緒に居たのであるが
僕は、驚いて「あっ」と言ったきり声が出なかった。

暫く見つめて僕は彼女とすれ違った。
彼女は少し微笑んだようにも思えたのだが、
僕は意気地無しで、話し掛けることが出来なかった。 

他の女性と待ち合わせしていたので時間が無かった
と いうことも有ったのだが、咄嗟の事で考えも
巡らなかった。

他の女性とデイトとしていても僕は実は上の空で
純子の事ばかりを考え、純粋だったあの頃、
少しばかり 恥ずかしくもある思いに耽っていた。

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雷の日に

雷の日に、その彼女が来て呉れた。 
誰に似ているのか思い出せないのであるが、
何故か、何処かで出会ったように思える。

少し桜色の頬が、可愛らしい。

接吻(キス)は、小さな唇で、少し歯が当たる
様な感じもしたが、昔、何処かで誰かと
した、その初キスの感覚を思い出していた。

年齢不詳のその彼女との言葉のやり取りが
中学生の頃の同級生とソックリで少し可笑しくて
でも、不思議な懐かしさを感じていた。

スレンダーな体は僕よりも少し温度が低くて
滑らかで触れていると心地が良い。
胸は擽ったいようで、堪え切れないように
笑うのが可笑しかった。

優しくて面白い彼女。CG関係の勉強も
したのだと言う。
僕もイラストを描くのが好きだった。

「色々有って。」

僕は詮索はしなかったが彼女がここに
こうして居るのを、少しの躊躇(ためら)いと
嬉しさが混ざった思いで居た。

僕は彼女の瞳の奥を覗いていると、
彼女は少し恥ずかしがるように手で隠した。
ブラウン系のアイシャドウが
その瞳に良く似合う。

柔らかな印象の彼女。彼女が去った
今も、穏やかな気持ちでいる。

素敵な彼女。

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儚い記憶

その彼女の面影は今でも僕の記憶の中に有る。

彼女はガラス細工の様に壊れやすそうでいて
触れてはみたいけれども、そうしてみると、何処かが欠けて
小さな音とともに儚く砕けそうであった。

僕はこの浜辺にハイウエイを飛ばして随分と久しぶりに来た。

あの時、砂浜の少し小高くなった処に、僕と彼女は並んですわった。
色が白くスリムな綺麗な彼女だった。 染めてはいないけれど少し
栗色の髪は風になびいていた。

 「気持ちいい。」

潮騒は青空に吸い込まれるようであった。
僕は彼女の写真を撮った。でも一緒には写らなかった。

「写真を撮ると残るから。」 彼女は束の間のデートで
別れを予感していたのかも知れない。

素敵な彼女で社長令嬢で育ちも良かったが

 「私、取り柄が無いし。」 そう彼女は呟いた。

普通に幸せな人生を
歩むべき彼女、そうであった。

僕はキスもせず、そっと彼女の肩を寄せた。
僕は我が儘なのだと思う。

彼女は優しいし家庭的だとも思う。でも何かが
違うのだと僕も彼女も解っていた。

夜の浜辺のホテルでディナーを取った。
平日だったせいか客は疎らで、僕らの為にあるように
も思えた。

自動演奏のグランドピアノが機械的な演奏を
流していた。 夜の浜辺は風が強かったがホテルに
イルミネーションされた数多くの豆電球が目の中に
ソフトフォーカスで見えた。柔らかな時間であった。

クリスマスイヴの少し前に彼女から電話が有った。
深入りすることも無く、裏切ることもなく
僕は彼女をただ傷つけたく無かった。
彼女は僕から離れていった。それで良いと思った。

たった一枚撮った、彼女のポートレイトは
少し微笑んでいた。

そして今、僕はこの浜にもう一度座り、
彼女が居たあたりの窪みの砂をそっと握ってみる。
手のひらから砂の粒子が陽の光を受けてさらさらと
砂時計の様にこぼれ落ちる。

目の前には太平洋。白い波が打ち寄せる。
潮騒はまだ続いている。
記憶の中の彼女はまだ横にいるようだ。

Kanojyo


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可愛らしい娘

ドアを開けると可愛らしい娘が立っていた。

少し重そうなバックを片手に小柄な彼女はちょこんと挨拶をする。

HPから想像した姿よりも柔らかい印象で、円らな瞳の優しい娘である。

一人っ子のせいか甘え上手かな。

「もっと綺麗になりたいの。」

「十分綺麗だと思うけど。」

「またまたあ。」

ささやかなプレゼントのchocolateを美味しそうに口にする。

薄い板状のその御菓子が舌の上で何時の間にか無くなるように

僕の心も少し甘く溶けていくようだね。

人が好きだという彼女。色々勉強中との事なのだが、

やがて何かをやってみたいという。

何なんだろうね。又、逢えればと思う。

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優しい女性

僕は女性の優しさに触れるという事が余り無かったのかも知れないと思うことが有る。   つきあった女性からは何時も頼られたり期待される事が多くて、またそういう自分を演じているのかも知れない。 余り尽くされるということが無かったようにも思う。 思えば女性に甘えた記憶が無いのである。そういえば自分の母親に対してもそうだった。僕は女性に余り優しさを期待していなかったのだと今さらながら気がついた。少し哀しくもある。

その女性は僕の事をする通りに受け入れてくれた。拒まない彼女の姿、それが随分と嬉しく感じた。 僕は今までに無い優しさに触れたようだ。もう二度とは逢わないだろう、その彼女の背中を思い出している。優しい余韻である。

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淡い恋

淡い恋をしていた。

その娘は二人姉妹の長女で、清楚な顔立ちの涼しげな彼女であった。僕と、彼女はパーティーで知り合った。

18才に成ったばかりの彼女は短大生。スラリとした足が奇麗で、ウエストが細くスタイルの良い彼女だった。

僕は彼女をドライブに良く誘った。海岸沿いを風を受けながら走ると心地良い。

夕方、海岸通りのお洒落な喫茶店に入った。窓ガラスが古びていて表面が滑らかでは無いので少し外の景色が湾曲して見える。  僕は、海を眺める彼女の横顔が好きになった。

日が暮れると灯台の下に行った。  灯台のライトが遠くに光を放っているが  彼女は灯台に背をもたれている。

水平線遠くに大型船の影が小さく見える。海面は月の光に照らされ波達がさざめいている。

僕はそっと彼女の唇に重ねた。彼女は、息を潜め、溜め息を一つつく。 僕が初めてのキスだったという。

幸せはそうは続かなかった。暫く経って、彼女の親から交際を断られた。 僕たちは隠れて会っていたが彼女が短大を卒業し金融企業に就職して彼女の気持ちが離れて行った。

いずれ心の離れることは薄々解っていたが、求めきれず消失していく心の哀しさで傷ついていた。

海の中に溶けて行くような透明で淡い恋だった。 

Toudai


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初めてのプレゼント

中学時代、僕は美術部だった。絵は小さい頃から好きで、藁半紙の束を渡され延々と書き続けていたことを思い出す。

あるとき美術部で七宝焼のテーマが有り、僕は二個、魚をテーマとした七宝焼を作った。青いバックに石鯛のモチーフと黒いバックに鮮やかな河豚(ふぐ)を作った。

リラックスして作ったせいか、なかなか奇麗で少しユーモアのある七宝焼に仕上がった。

たまたま、隣に座っていた女生徒にその七宝焼を見せた事が有った。

「いいなあ。」    「あげるよ。」

「いいの?」     「いいよ。」

その女生徒は美少女だった。僕は生まれて初めて女性にプレゼントをした。 美少女は嬉しそうに微笑んだ。

「有り難う!」

彼女からはお手製のクッキーを貰った。好き嫌いの感情は余りなかったがプレゼントをするという事に少し嬉しい感情が芽生えた。

その後、美少女は、中学生にしてジャズピアノをやっていた大人びた同級生と一緒になった。

彼女の宝石箱に僕の七宝焼は未だあるのだろうか?   嬉しそうだったあの美少女の笑顔を思い出す。

その綺麗な笑顔が僕へのプレゼントだったのだと今更になって気がついた僕である。

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嫌われ松子という彼女

「まるで私の人生みたい。」そう彼女は言った。映画の「嫌われ松子の一生」の事である。僕は彼女の事を「変っているね」と言ったら、「それは女性には褒め言葉じゃないよ。」と言って少し怒った顔をした。 

僕は彼女の本名も知らないし、得意だというピアノを聴いたこともない。肌を触れあい、とりとめの無い話をすることを愉しんでいる。対話に知性を感じていた僕は何時も話の真贋を見極めようとしている。「私の話は全部嘘かも知れないよ。」 逆説的なのだと思う。

子供を見る優しい眼差しと男性を見る厳しい視点。高校にトップ入学し恋愛も早熟だった。会社員時代は部長クラスだったという事、そして今の仕事。学習意欲、ワークホリックさ、稼ぐという執念は筋金入りであると感心させられる。「私は少し自分を苛めるところがあるの。」 空いた時間を仕事で埋め尽くす彼女。

彼女の精神構造は雲母のように多層になっている。知性、仕事、男達、恋愛、子供への愛、衣食住。恐らくは彼女自身にも御しきれない。劈開する意識。しかし僕は彼女がひととき見せた幼子への愛情とその優しい眼差しに真実を見たように思う。  求めても求めきれない、それは結局は心なのだと僕はそう解っている。

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初めてのデイト

僕の初めてのデイトは中学校時代の同級生の女子の突然の待ち伏せだった。

彼女、クラスで何時もトップの成績で皆からは秀才と呼ばれていた。 そんな彼女から僕に声が掛かるとは些か吃驚であった。

積極的なアプローチに、彼女の顔を直視出来なかった。初心(うぶ)だった。学校から帰る間、彼女は僕に話しかけ続けていた。僕はぶっきらぼうで生返事で、彼女も失望したかも知れない。

何故、僕なのかは解らなかったが、バレーボール大会の時にアタックなんかが決まったのでそれが良かったのかも知れないと後で思っていた。

嫌いでは無かったし、白い肌で、でもちょっぴり肉付きの良い彼女は少し良いにおいもして、僕は本当の処は少し興奮していた。

彼女に何をどう話して良いやら解らず、どう触れても良いものかも解らず、本当に子供であった。

手も繋がず、そして一度きりのデイト。彼女は勇気を出して待ち伏せしたのであろうがそれっきりで声も掛けられなかった。

意気地無し。とも思ったが、他にも気になる子がいたのも深入りしようと思わなかった理由だったかも知れない。

その後、彼女は地域でトップの高校に入った。風の便りに幸せな生活を送っているという。

記憶の中の彼女は、まだあの頃のセーラー服のままである。

Tsukimisoua

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雨のキス

彼女は同じダンスサークルに居た。

結構、華やかで人気の有る彼女であった。赤い服が良く似合った。

「私、中学の頃は太ってたのよ。」  華奢でスマートな彼女な彼女からは信じられない。

デートに誘い一緒にお酒を飲んで二人で公園の少し固いベンチに座った。

夜のTVタワーを二人で暫く見上げた時に僕は彼女の細い顎に手をやり少し引き寄せて優しくキスをした。
丁度、霧雨が降って来て彼女の頬に小さな水滴を作った。 水滴の一つ一つがラメの様に輝いていた。

髪も濡れて来たが、彼女はずっと唇に身を委ねていた。  「濡れているの私だけだよう。」

キスを終えて、駅へ急いだ。彼女は人とすれ違うのを恥ずかしがった。

少しぎこちない彼女は初めてのキスだったのかも知れないと感じている。彼女とは、些細なすれ違いから
結局、結ばれることは無かった。

映画のシーンの様なキス。 僕は雨のTV塔を見るとあの頃の彼女を思い出すことが有る。


Kiss

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薔薇の花束

その彼女は赤い薔薇の花束を持って現れた。

「途中、すれ違ったおじさんから、彼氏にあげるの? って言われちゃった。 」そう言って彼女は肩を窄めた。

僕の誕生日でも無いし、どうして急に?  プレゼントという戸惑いも有った。今でも何故あのタイミングで有ったのか不思議に思う。

「赤い薔薇の花束かあ。 嬉しいけど、何か、持って歩くのも恥ずかしいなあ。」

クルマの中に薔薇を入れてその彼女とドライブに行った。海岸は晴れて天気が良く海は陽の光を強く反射していた。デートから帰る頃になると薔薇の具合が悪くなっていた。

余り縁起が良く無いな。僕はそう感じた。直感通り、その彼女とは暫くして別れる事と成った。

僕は女性に薔薇の花束を贈ったことが無い。若しそういうチャンスが有ったなら贈るべきなのかどうなのか、少し考えるかも知れないなと思う。

愛のシンボルを枯らしては寂しいしね。

Roses


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夢の中

僕は少しの辛さを癒す為に肌の触れあいを求めていた。

触れあう空間をより密着しようとしても、しかし、求めきれない切なさは寧ろ精神(こころ)であって、

刹那、肉体の快楽の後に襲う満たされぬ思いは現(うつつ)に出会うことが叶わず、

愛おしくも、夢の中の、君のせいなのかも知れない。

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オーガズムという真実

オーガズムというのは僕は一つの”真実”だと思う様に成った。恋愛の肉体的側面から見れば、やはり人間も
動物であって、性的な興奮を共有出来なければ幾ら精神的な面で気があうと行ってもそれは友人という範疇を超えられないと思う。

好きだと言う外的要因に於いては恐らくまずルックス、あるいは声、におい、触感、しぐさ、食べ物などから入るのであろう。ここで有る程度、趣向がふるい分けられる。

僕は、この時点での選別は多くは自分が生まれ来てから見て来たもの、五感で感じたものを基準として判断するのでは無いかと思っている。

良く、自分に似たデータを持つ異性や、親兄弟など身近なもの、自分が好ましく思っているイメージを基準に、顕在的あるいは潜在的に選択するのではないか。それが仮説でもある。

それによって選択された異性と付合う事になりやがて肉体関係を結ぶ様になるが、裸になった時の真実は、お互いの性的な興奮の一致が、どうかという事になる。

僕は、この刹那の”真実”が前提であると思う。おそらく、言葉よりも語る。オルガスムスは誤摩化しが効かない。ふりをしても相手に解ってしまうからでもある。自分に有った性癖かどうか、重要な事であると思う。

少なくともオルガスムスの真実は出発点であって全てでは勿論無い。僕は恋愛の前提として相手とのオルガズムの相性を見てはどうかと思う。 勿論、オルガズムが良くても中身が・・・ それは当然のことである。 あくまでオルガズムは動物的下部構造であるから、上部構造のその人の持っているものが永続的関係を結ぶに値するかの判断となろう。

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