老猫の死
二十余年も生きた猫が静かに息を引き取った。
寅の様に縞の入ったその猫は最近は唯、眠るばかりで
出っ放しになった爪も戻らずに、毛も抜けてくるし、
すっかりと衰えていた。
でも思い出したように時々は起きて来て、僕を見ると
大きく啼いて挨拶をした。
僕はこの猫をモティーフにして焼き物を作ったり絵を
書いたりしていたので愛着も有った。
寅年の年賀状にはその猫が主役で登場する。
近所の猫の写真なんかも取って、ご近所での猫マップを
作ったりもした。
母がその老病の死を看取ったと言うのだが、知らないうちに
息が無かったと言う。
「庭に埋めるから」と言って立ち会って欲しいと言われたのだが
僕は立ち会わなかった。
いつもペットが死ぬとそうなのであるが、僕は何時までも何処かで
生きていると思いたいから、立ち会いたくないのである。
死を認めると言うよりは何処かに行ったと思いたい。
僕の我が侭である。
寒く成りかけた空気の中で、猫が何処か部屋の片隅で
小さく啼いたように感じた。
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