老猫の死

二十余年も生きた猫が静かに息を引き取った。

寅の様に縞の入ったその猫は最近は唯、眠るばかりで
出っ放しになった爪も戻らずに、毛も抜けてくるし、
すっかりと衰えていた。

でも思い出したように時々は起きて来て、僕を見ると
大きく啼いて挨拶をした。

僕はこの猫をモティーフにして焼き物を作ったり絵を
書いたりしていたので愛着も有った。
寅年の年賀状にはその猫が主役で登場する。
近所の猫の写真なんかも取って、ご近所での猫マップを
作ったりもした。

母がその老病の死を看取ったと言うのだが、知らないうちに
息が無かったと言う。

「庭に埋めるから」と言って立ち会って欲しいと言われたのだが
僕は立ち会わなかった。

いつもペットが死ぬとそうなのであるが、僕は何時までも何処かで
生きていると思いたいから、立ち会いたくないのである。
死を認めると言うよりは何処かに行ったと思いたい。

僕の我が侭である。

寒く成りかけた空気の中で、猫が何処か部屋の片隅で

小さく啼いたように感じた。

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愛犬の思いで

「可愛いでしょ。」
そう言って彼女は携帯で撮った愛犬の写真を見せた。

僕は幼い頃に飼っていた、コッカスパニエルの事を
思い出した。 白と黒のツートンで、喜ぶと
尻尾を箒の様に振る犬だった。
洗うと、水しぶきをブルブルと弾き飛ばすようにして
それが幼心に少し閉口したのを覚えている。

次に飼ったのはケアンテリア。
僕がお腹を擦ると興奮して小さな庭を駆け回る。
そんな事を飽きるまで何度も繰り返していた。
僕はこの犬の絵を描いたり、粘土で形を作ったり
していた。

二匹の犬は病気で死んでしまったのであるが
従順に瞳を見つめる犬は僕の事を裏切らない様に
感じていた。

僕は元々は猫のクールさや我が侭さが好きであったのだが
最近は少し犬派になってきたかも知れないと思う。

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