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彼女の携帯

彼女の携帯ストラップは組み紐で出来ていて和風な感じである。
大人しそうな柄で品が良い。 
そう言えば彼女は香りが好きなのであるが如何にも京都の香りが
しそうなと言えば良いのだろうか。

僕は、彼女と携帯電話の番号を交換して、一度掛けてみた事が
有った。でも、数度鳴らしただけにした。
何となく家の事情が大変そうな彼女を暫くはそっとしておいて
おこうと思ったからであった。

僕はその替りに、彼女にメールで絵を送るようにしようと思い立った。
そう言えば彼女も絵が好きだったから、少しは伝わるものが有るかも
知れないと思っている。

暫くは無邪気に出会えていたのだが、急に彼女が遠くに行ってしまった
様で心に穴が開いたように感じたりもする。

彼女の二十三の誕生日までに会う事はできるのだろうか。
少し遅くなったクリスマスプレゼントを渡したいと思ったりもする。

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朝焼け

昨日からの雨が嘘のように今朝は晴れた青空。

高層階からカーテンを開けて臨む景色は
遥か海岸線まで見渡せるパノラマである。

未だ低い位置にある太陽はオレンジ色に輝いていて
空の色も水平線から徐々に空色に変化していて
その透明感に吸い込まれそうな気持ちになる。

あの彼女もこの美しい景色を見ているのだろうか。
毎日、再び陽が昇るように、辛く苦しい事があっても
新しい日々は創られていく。

僕は彼女が再び優しい笑顔を返してくれたように感じていて
その頬に朝日の中でそっと触れてみたいのだと思う。

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心のクリスマス

「ほんとうに、ごめんね」

そう彼女から連絡が有った。
クリスマスに一緒にディナーを食べようと思っていた
彼女からの突然のメールだった。

直感的に何か事情が有りそうだなと思っていたので
不思議にそう驚きはしなかったのであるが、
切なさと残念さが入り交じった少し哀しいクリスマスになった。

僕の手元には渡せなかったプレゼントが未だ一つ残っている。
そっとその小さな箱を僕の手のひらで包んでみて
その思いが彼女に届かないかと思ったりもしてみる。

今度、逢った時には少し喜んで呉れたら嬉しいのだ
けれどと思ったりしている。
彼女と何処かで心が繋がっていれば、それだけで
僕は何も要らない。

そう、僕の欲しいのは、唯、彼女の心なんだと解っている。

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クリスマスイヴに貰ったもの

一体、何年前のクリスマスイヴだったのだろう。
今は閉店したJAZZを流している店でイヴのパーティーを開催した。
楽しいパーティーの後、店の外に出てみると丁度、雪が舞い始めて
いたころだった。 

 雪の白さは都会の暗さを隠す様に白く、だんだんと降り積もってくる。
紺色のコートの裾に付いた雪は溶けるときに六角形の綺麗な結晶を残して
次々と現れては、消えていく。 

 皆の、吐く息は白く、頬は少し染まっていた。
パーティは終わったのに その場を皆、何故か離れ難かった。

「雪のクリスマスイヴだね。」皆が、微笑んでいた。 

バブルの時代であったが、僕たちのパーティは、そんなに派手なものでは 無くて、
大人しく健全過ぎたかもしれないけれど、どこか心に残るものだった。
 いつも僕は幹事の役回りだった。やがて、幾つかのカップルがパーティで出会い ゴールインしていった。

この頃が来るたびに僕は楽しかったイヴを思い出している。
無邪気に若かった時を少しはほろ苦く、でも、純粋な思いの結晶は今も
未だ消えてはいないのだと信じていたりする。

僕たちがクリスマスイヴに貰ったものは、そんな小さな思い出だった。

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彼女の忘れ物

白いタオル地の髪留め。

さっきまで彼女が後ろで髪を束ねていた。
僕はその後ろ姿を飽きずに眺めている。
首筋と項(うなじ)そして、少し桃色の耳朶。

その髪留めを白いベットの上に残して彼女は
独り帰っていった。

僕は寝返りをうった時にその彼女の髪留めを
偶然に見つけて手に取りそっと頬に寄せる。

彼女の微笑みを想い出していて
どういう訳か目頭が少し熱くなって
説明出来ないような気持ちになる。

視界が朧げになって、僕は知らない間に
その髪留めを手の中にしたまま
夢の中に入って行った様だ。

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絵の好きな彼女

彼女を待っていると、ちょこんとお辞儀をして片手を挙げた。
少し剽軽な彼女である。 部屋に入ってブーツを脱ぐときに
一寸、蟹股になるのが子供っぽくて僕が笑いを堪えていると

「可笑しい? 他の人はどうするんだろう」といいながら頬を赤くした。

随分と僕にも慣れてきて、覗き込むように僕の瞳を見てくる。
少し近視かなあと思っていたらコンタクトだと言う。

小振りの胸や、スリムな体形が年齢より若く見える彼女は
僕が大学生の時に教えていた中学生の女の子と良く似ていて
その女の子もやっぱり覗き込むように何時も僕の顔を見ていた。

その彼女は絵が好きでグラフィックス関係に興味を持った。
「クラスの中に居たでしょう。ずっと絵を描いているような子。」
そんな彼女であったと言う。

僕は彼女が教室の中で座って絵を無心に描いている様子を思い浮かべていた。
自分もそうだったかも知れない。
そういえば最近、絵を描いていないな。そう思う。
その代わりに新しいビジネスのイメージを日々描き続けているのである。

「絵を見てみたいよ。」「じゃあ、メールで送るからね。」

僕は彼女の絵を少し心待ちにしていたりする。

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少しづつでも

彼女から電子メールが届いて、少し気持ちが落ち着いたようで
安心した。 彼女の哀しみが切っ掛けとなって僕の哀しみも
話すことができたから、もう秘密にしておくことも無くなったよ。
少しづつでも心の距離が縮まれればと思うよ。

いつも笑顔の彼女が浮かんでくるのだけれど。
どうしたら彼女が本当に幸せになれるのかと考えていたりする。 
明日は逢えるのだろうかと思う。逢ったら何をしようか。
僕のあの思い出の砂浜に彼女を初めて連れて行くのも良い
かも知れないと思う。

夜の潮騒はきっと想い出に残るのだろう。

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泪のあとに

彼女の泪を見て、少し剽軽で朗らかな彼女に、
どうしてかは解らなかったが、何処かに或る寂しさに
僕は魅かれていたのだと気がついた。

僕が魅かれるのは、そんな女性が殆どだと思う。
強気なのに寂しがり屋とか、無邪気なのに陰が有る
とか、皆、思い出してみればそうなのである。

又、意識はしていないのだが、皆、僕の前で泣いて
しまうことが多い。暴力を振るうわけでもないし
相手を責めるわけでもない。心の痛みを結果的に
分け合うことになる。

泪を流した後、彼女が微笑んだのが救いでも
有ったのであるが、暫くは彼女の事ばかり考えて
いた。
でも、人の世には、更に越えていかねば哀しみや
そして喜びが有るのだと解っている。

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彼女の想い

彼女の目から泪が溢れた。 その泪は頬を伝って僕の胸元に落ちた。

哀しい事があったのだと言う。 朗らかそうな彼女からの想いも寄らぬ

泪で有った。 僕の哀しみも少し話をして、彼女は落ち着いてきた。

僕は暫く彼女を抱擁し続けている。 その哀しみは消える事は無いかも

知れないのだが時がやがて薄めてくれるのだろうと思う。

浴室を暗くして、キャンドルを浴槽の中に浮かべ、蝋燭の

暖かい光に包まれている。 彼女が少し微笑んだ。

癒されますように。

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BBS

ひょんな事からBBSのスレッドの命名者の一人となった。

今まで、真面目に板なんかでの発言もして居なかったので
たまたま有るBBSで意見交換をしていた時の延長線でそうなって
来たのである。

実際にスレッドが開始されると、結構インテリジェンスの高い
メンバーで面白い。 同じような指向性を持つメンバーが
多いようで、なかなか他のメンバーを寄せ付けない雰囲気も
有る。

暫くはこのスレッドと付き合ってみたいと思っている。

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柔らかな曲線

ぼくはその彼女の背中からお尻にかけてのラインが好きである。

そっと背中から脇腹を経由して腰に至るその柔らかな曲線は

丁度良い大きさのお尻に繋がっていて、とても綺麗なのだと思う。

指先でその曲線を辿りながら、彼女は何を今、考えているのだろうと

思ったりする。

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電子文

僕はその彼女と短い電子文を交わす事となった。

取り留めもない日常を綴りつつも

彼女の今を想う事がある。

時と空間をたやすく越えて行くその文は

少し響きあったりして

今も昔も心を伝え合うのだと思う。

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いつかの約束

僕は、ある女性と高層ビルに有るバーを巡る約束をしていた。

東京、横浜、名古屋と、高層バーから眺める夜景は

それぞれに味が有って、一時の楽しい思い出となった。

英語が得意で米国に留学して中国で就職した経歴だった。

その彼女は海外に行くといって突然に僕の前から居なくなった。

暫くは、空虚な感じで、どうしようも無い気持ちでも

あったのだけれど。

気の合う女性と又、約束して、行きたいと思っている。

今度は少しゆっくりでも良いから、永く一緒に居たいと思う。




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小さなプレゼント

「これ、使ってくださいね。」

そう言って彼女は竹久夢二のイラストの入った
お香立てとお香をプレゼントして呉れた。

お香立てには小さな女の子が子象の玩具を
引いている絵で可愛らしい。

お香を取り出してみると、伽羅の香り。
和の空気を創るようだ。

「じゃ僕は此れ。」

僕はマグノリアの香り袋をプレゼント。

花の香りで、車に使うと彼女は言う。

何も決めていた訳では無いけれど
お互いに準備していた香りのプレゼントを
偶然にも交換をすることに成った。

プレゼントも勿論、嬉しかったけれども
気が通じているのかなと思えた事。

僕は、その事が少し嬉しかったりしている。

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